【申請物件との利害関係】
建築予定地は道路をはさんだすぐ向かいで、日照、景観が著しく阻害されるだけでなく、風害、心理的圧迫、万一の災害時には、ビルの破損・倒壊等による直接被害の可能性もあります。また、利用している三鷹駅北口に降りた際、失われる街の雰囲気が心理・情緒におよぼす悪影響、さらには交通状況の悪化などが強く懸念される立場です。
【公聴会で述べた主な意見(5分の制約で述べられなかった分も含みます)】
1.事業主と市の関係が、公正でない懸念が感じられる。
まちづくり条例の委員任命に関する事実確認を公式に行ってください。
『武蔵野市まちづくり条例』策定委員のひとりに、事業主の「事業責任者」である野村不動産の伊藤和高副部長が任命されていました。説明会で私がこれを指摘したことをきっかけに、伊藤副部長は委員を辞任されました。当人も市も、「それ自体、問題はない」との見解を新聞社の取材で表明した以外、任命の経緯や、「その時点で野村不動産は、この物件に関与する予定はなかった」という発言の真偽を確認する作業が行われていません。野村不動産が、平成18年2月の時点でまったくこの土地に関心を持っておらず、当地で大規模開発を行うことが想定されていなかったのかどうか、調査すべきです。本当に野村不動産および伊藤和高副部長には、委員に任命された(土地取得からわずか半年前の)時点で、「この土地の事業に関わる気持ちはまったくなかった」と確認できているのでしょうか。
伊藤氏が、会社に委員委嘱の報告および許諾を申し入れる際、どんな会話が交わされたでしょう。私は当の伊藤副部長から説明会後の会話で、「あの土地に関してはかねて関心を寄せており、裁判の傍聴にも行っていました」と直接聞きました。その時期が一体いつなのか。市議会または第三者機関によって、しっかり確認される必要があります。
市民の多くは、大規模開発を規制する内容を含む『まちづくり条例』の策定に、当該物件の事業責任者が関わっていた事実に「強い違和感を覚えた」と話しています。その判断のずれ、行動の遅れは何に起因しているのでしょう。これまでの討論を総合すると、武蔵野市は、「いろいろあった土地だから、あまり市民に知らせず、こっそり計画を進めてしまおう」という姿勢がありありと窺えます。
市民からすれば、この件を含め、市と事業主の間に予め細かな事前交渉があり、公的な届けを受けて公的に審査・判断される以前に建築計画の骨子が事実上承認され、合意ができていたとの疑念を抱かざるをえません。
市民に計画が示されてすぐ問い合わせた時点で、すでに市は「既定の方針に従った計画である」「容認」とはっきり回答したことも、そう指摘する根拠のひとつです。
2.総合設計制度、導入を決めた時期と理由について説明がほとんどされていない。
デメリットに関する説明と論議がまったく不足しています。
なぜ、いつ、総合設計制度の導入が指示され、決定されたのかについて、充分な説明がありません。その決定過程において、市民に広く意見を求めるなどの活動がされたとも思えません。市民にもっと広く、総合設計制度のメリット、デメリットについて詳しく伝え、判断を仰ぐべきではないでしょうか。市は、駐輪場の確保、道路拡幅用地の提供を受けるなどのメリットばかりを強調していますが、多くの市民が脅威に感じている103mという高さへの不安は、一蹴されています。デメリットに関する検証もきちんとする必要があります。
運転免許の講習に行くと、「だろう運転はダメ、かもしれない運転を徹底してください」と厳しく指導されます。今回の討論の場では、安易に「危険はない」と言い続ける「大丈夫だろう建設」に終始しています。大地震の際、その場で生活できなくなった高層階の人々は、避難所での生活が想定されます。その避難所を確保するのは市の責任です。その分、既にいる市民の避難環境の悪化が予想されます。果たして、避難所が充分に確保されるのか。現実的な責任を認識した上で、市はこの計画を容認しているのでしょうか。
3.土屋正忠・前市長を証人として呼び、事実関係を明らかにしてください。
現市長の説明でも、市役所の担当者の説明でも、「実際には、この計画に関する武蔵野市の基本姿勢は、土屋前市長時代に作られたものである」との立場を取り、だから今さら変えようもないかの雰囲気で、責任の所在が曖昧に語られる印象を強く感じます。
しかし、正式な協議はいま行われているのです。市民に計画が知らされ、公式に意見を述べるチャンスはいま与えられています。その時点で、既定の事実だから変更の余地がないと言われるのは、不公正だし、理不尽です。
そうした背景を明らかにし、計画の決定がいかにして行われ、市の態度がどのように決定されたのか。経緯と責任の所在を明確にするため、土屋正忠前市長に、公式な立場で証言し、質疑に応じてもらう場を設定してください。
4.103mは、武蔵野市(三鷹駅北口)に相応しくない高さだと考えます。
すでに、世間が「No!」と言っている、"利益優先"の建築物です。
4月1日に改正(施行)された『東京都景観条例』では、街並みを壊す突出した建物の
建築を認めないことを明言しています。
世間の価値観はここ数年で急速に『地球環境の保護』『防災』などを主眼とするものに変わっています。「新しい文化・ムーブメントを全国に先がけて発信すること」を誇りとする武蔵野市が、"悪しき開発主義の遺物"である超高層ビルを遅ればせながら建てる愚行は、景観ばかりでなく、その魂、風土まで破壊してしまいます。
企業にとって「利益優先」の計画であるばかりでなく、駐輪場、道路用地の提供など、様々な「多額の対価を得る」と主張する武蔵野市の判断基準もまた「利益優先」になっています。大切な伝統、街の心を忘れたこの計画を許すことは、武蔵野市を壊すことにつながります。