PICを利用した新型電子温度調節式パン生地発酵器

以前に製作した発酵器は、ヒーターのON/OFFにリレーを使用していたので設定温度の精度を上げられなかった。 (精度を上げる為にONする温度とOFFする温度の差を少なくすると接点の点滅回数が増え接点が磨耗してしまう)、また手軽に設定温度が変えられ ない。といった欠点があった。そこで無接点のソリッドステートリレーを使用し設定温度をヴォリュームで手軽に変えられる発酵器を製作しました。

装置の概要

PICを利用した新型パン用発酵器
PICを利用した新型パン用発酵器

3桁の7セグメントLEDで温度を0.1℃まで表示します。左上部のトグルSWを上にすると発酵器の温度を表示し下にすると制御温度設定モードに なり設定温度が表示されます。左下部のトグルSWを上にすると上限温度が表示されるので上部のヴォリュームで上限温度を設定します。 左下部のトグルSWを下にすると下限温度が表示されるので下部のヴォリュームで下限温度を設定します。左下の白いコネクターが温度センサー、 グレーのコネクターがヒーターにつながっています。7セグメントLEDの左側のLEDは赤が電源ON、緑がヒーターONを表示します。

PIC16F88を利用したパン用発酵制御器内部
PIC16F88を利用したパン用発酵制御器内部
PIC16F88を利用したパン用発酵制御器正面
PIC16F88を利用したパン用発酵制御器正面
PIC16F88を利用したパン用発酵制御器左側面
PIC16F88を利用したパン用発酵制御器左側面
PIC16F88を利用したパン用発酵制御器右側面
PIC16F88を利用したパン用発酵制御器右側面
PIC16F88を利用したパン用発酵器センサー部
センサー部
PIC16F88を利用したパン用発酵器センサーコードコネクター部
センサーコードコネクター部
PIC16F88を利用したパン用発酵器センサーアセンブリー
パン用発酵器センサーアセンブリー
PIC16F88を利用したパン用発酵器内部
PIC16F88を利用したパン用発酵器内部
PIC16F88を利用したパン用発酵器全体図
PIC16F88を利用したパン用発酵器全体図

作り方

構造及び仕様概案

ソリッドステートリレーには、D2W203F(ゼロクロスタイプ 3A 240V 秋月電子で¥350円)、設定温度の制御にはPIC16F88を使用します。 温度センサーはLM35Dを使いセンサー出力をオペアンプLMC662で10倍に増幅しPIC16F88のコンパレーター機能で設定温度の上限と下限でソリッド ステートリレーをON/OFFする仕組みです。設定温度範囲0℃〜50℃での出力が5Vの時に50℃で1℃当たり100mV変化するように回路の抵抗値 を決めます。PIC16F88のコンパレーター出力で2SC1815を介してソリッドステートリレーとLEDを作動させます。設定温度はヴォリュームで可変 出来るようにしPIC16F88にアナログ入力します。電源は古い携帯電話のACアダプター(DC5.8V)を使用しました。リレーの電源はACアダプターから 取りPIC16F88のDC5V電源はロードロップタイプの3端子レギュレーターTA4805Sで作ります。(普通の78L05は電源電圧が7.5V以上必要なため使えま せん)温度センサーLM35Zはパン種の真上にセッティングします。7セグメントLEDは配線を簡単にするため3桁1体で12ピンのC-533SR (秋月電子で¥300)を使用しました。

回路図

PIC16F88を利用したパン用発酵器回路図 PIC16F88を利用したパン用発酵器回路図

C-533SRは表面からみて左下が1ピンです。2桁目の7セグは小数点の表示をするので200Ωの抵抗を介して2SC1815のコレクターに接続します。
センサーの表示温度は信頼できる温度計の表示と一致するようオペアンプLMC662の増幅率を20KΩの半固定ヴォリュームで微調整し較正します。
加熱ランプ、温度ヒューズの構造は以前の発酵器と同じです。

制御方法

PIC16F88のポートの割付けをしてみると16ポート必要になります。そこで使用可能なポートを増やすため内部オシレーターを使いコンフィグレーシ ョンでLVP_OFF、MCLR_OFF、INTRC_IO、とし16ポート使用可能にします。PIC16F88のポートはデフォルトがアナログなので始めにポートのデジタル/ アナログをコンフィグレーションで設定する必要があります。またRA5ポートは INPUT ONLY なので要注意です。

ポートの割付け
PIN番号 ポート名 入出力 機能
17 RA0 アナログ入力 CH0 上限設定温度
18 RA1 アナログ入力 CH1 下限設定温度
1 RA2 アナログ入力 CH2 温度センサー入力
2 RA3 デジタル出力 ソリッドステートリレーON/OFF
3 RA4 デジタル入力 上下限温度設定(HI=上 LOW=下)
4 RA5 デジタル入力 温度表示/設定切替え(HI=設定 LOW=表示)
15 RA6 デジタル出力 7セグ2桁目選択
16 RA7 デジタル出力 7セグ3桁目選択
6 RB0 デジタル出力 7セグ1桁目選択
7 RB1 デジタル出力 7セグ a表示
8 RB2 デジタル出力 7セグ b表示
9 RB3 デジタル出力 7セグ c表示
10 RB4 デジタル出力 7セグ d表示
11 RB5 デジタル出力 7セグ e表示
12 RB6 デジタル出力 7セグ f表示
13 RB7 デジタル出力 7セグ g表示

プログラム

温度測定範囲 0〜50℃、0.1℃ステップとした場合分解能は500となる。PIC16F88のA/D変換は10ビットで分解能は1024あるので変換値を1/2 にし500に近似させる。変換値はバイナリーデーターなので3桁の10進データーに変換し7セグメントLEDでダイナミック点灯表示させる。

PIC16F88を利用したパン用 発酵器MSAMプログラムソース

PIC16F88を利用したパン用 発酵器HEXプログラム

AD変換、7セグメントLEDダイナミック点灯表示ルーチンは後閑哲也氏の 電子工作のためのPIC活用ガイドブックを、BIN TO BCDルーチンは YS Design StudioのHPを、参考にさせて頂きました。

使ってみると

上限温度を28.5℃、下限温度を27.5℃に設定するとヒーターは28.5℃でOFF、27.7℃でONしました。下限温度の差は表示の遅れか、何等かの ヒステリシスの影響だと思いますが実用上問題ないのでこのまま使用しています。設定温度が自由に変えられるしリレーの音もしないので快適です。

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