電子温度調節式パン生地発酵器

天然酵母で小麦を発酵させるパンを作り始めました。パンを発酵させるには発泡スチロールの箱の中にパン生地と お湯を入れた容器を入れ、お湯が冷めたら取替えるというのが一般的です。しかし実際にやって見ると冬だと1時間おきにお湯を取替えなければ ならず手間が掛かりすぎます。そこで恒温槽のように一定の温度を保てる電子温度調節式パン生地発酵器を作りました。

作り方

加熱方法

発泡スチロールの箱の中に小さい電球を入れればよいのではないかと考え、5W〜20Wの電球と調光器を使い実験 したところ内寸21cm×30cm×13cmの箱の場合東京の気温なら10Wの電球でよいことが判りました。

AC100V10W電球AC100V10W電球 調光器調光器

安全装置

温度フューズ
温度フューズ

可燃性の発泡スチロールの箱の中に電球を入れる場合はなんらかの過熱防止装置が必要です。40℃以上でOFFになる温度フューズを付けようと思っ たのですが適当なものがないので作る事にしました。材料はマイクロスィツチと直径6mmの細いロウソクとアクリル板を使用します。アクリル板で ロウソクがマイクロスィツチのボタンを押した状態でマイクロスィツチとロウソクを固定するケースを作ります.この状態ではスィツチはONです。温度 が40℃以上になるとロウソクが軟らかくなりスィツチボタンを押せなくなりOFFとなります。この装置を電源と電球の間に入れれば過熱した場合は 電源がきれます。始めはボタンのバネが強いマイクロスィツチを使用してテストしましたが30℃程度でOFFしてしまいバネの弱いものに変えたとこ ろ以後順調に作動しています。装置を電球のそばに置くと設定温度以下でロウソクが軟化して電源が切れてしまうのでなるべく電球から遠いところ に置く必要があります。







温度フューズ図面

温度フューズ図面

温度制御装置 Ver1

温度を一定に保つには温度センサーが必要ですが秋葉原に買いに行くのが面倒なので手持ちの部品と近所で手に入る部品で出来る方法を考えました。 100円ショップで買ったバイメタル式の温度計と光電センサーを使用し設定温度になると温度計の針が光電センサーを作動させ電源を切る仕組み です。温度計は分解しメーター部分を外し、3mm幅の白い紙で針をサンドィッチにして接着します。アクリル板の中央に温度計を取付け上部に反射 型の光電センサーをネジ止めします。光電センサーは左右に移動出来、設定温度の調整が出来ます。電源の入り切りはリレーで行います。あまり 頻繁にON・OFFを繰返すとリレーの接点が持たないのでPIC16F84で作ったインターバルタイマーを入れました。

温度計
温度計
温度センサー
温度センサー

使ってみると

インターバルタイマーを3分程度に設定して使用すると誤差は設定温度±1℃に収まり上手く行くかに思えました。ところが使用して行くうちに少し づつ温度が設定より低くなり2、3日たつと遂にセンサーの調整限度イッパイになって調整出来なくなりました。原因は温度計のバイメタルが経たっ て針が実際の温度より高い温度を示すようになった為でした。バイメタルをよく見るとどうもバイメタルではなく単なるスチールベルトの様です。 やっぱり100円ショップの製品を使うのは安物買いの銭失い(100円ですが)だったようです。

温度制御装置 Ver2

やはりちゃんとした温度センサーを使用しなければだめだと観念してトランジスタ技術とエレクトロニクスライフのバックナンバーを参考にして制御 回路を考えました。温度センサーはLM35Dを使いセンサー出力をオペアンプLMC662で10倍に増幅しコンパレーターLM339で設定温度を検出する仕組み です。設定温度範囲は0℃〜50℃でLM339の出力が5Vの時に50℃で1℃当たり100mV変化するように回路の抵抗値を決めます。LM339の出力で2SC 1815を介してリレーを作動させます。LM339にはヒステリシスを持たせONする電圧とOFFする電圧に差を付けてリレーが頻繁に作動するのを防ぎます。 設定温度とヒステリシス量はヴォリュームで可変出来るようにします。リレーのDC12V電源はACアダプターから取りPIC16F84のDC5V電源は3端子 レギュレーター78L05で作ります。LMC662とLM339は別のプリント基板に乗せ元の基板からDC5V電源を取ります。温度センサーLM35Zはパン種の真上に セッティングします。リレーはオムロンのMY2 DC12Vを使用しました。電球のソケットはアルミ板にネジ止めしました。

電子温度調節式パン生地発酵器回路図
電子温度調節式パン生地発酵器回路図 この回路図は回路図エディターBSchで作製しました。

温度センサーLM35Z
温度センサーLM35Z
電子温度調節式パン生地発酵器一式
電子温度調節式パン生地発酵器一式
電子温度制御器前面
電子温度制御器前面
電子温度制御器背面
電子温度制御器背面
電子温度制御器内部
電子温度制御器内部
パン生地発酵器内部
パン生地発酵器内部

使ってみると

設定温度27℃でテストして見ました。設定温度を27℃にするために温度設定用ヴォリュームを回しLM339の5ピンの電圧を2.7Vにし、ヒステリシス 設定用ヴォリュームを少し回しヒステリシスを少し利かせて使用して見ました。その結果誤差は設定温度±0.5℃に収まり長時間使用しても設定 温度が変動することもなく今度は上手くいきました。急がば回れでした。

今後の予定

設定温度と実際の温度を表示出来るように改造する積もりです。

参考文献

エレクトロニクスライフ1988年3月号,1989年1月号,1991年2月号  後閑哲也著 電子工作のためのPIC活用ガイドブック
トランジスタ技術2005年7月号

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